借地権の更新に関するQ&A

Q,
地主です。借地契約が12月に更新を迎えます。平成5年に借地権付き古家(約24坪)を購入したAさんと20年間の借地契約を結びました。Aさんは古家を壊して4DKの新築住宅を建て、一部を間貸ししていましたが、平成11年に事業に失敗して、銀行ローン債務を理由に、借地権付住宅を銀行に差し押さえられました。銀行は不良債権処理として、この借地権付住宅を競売に付しました。この 時に、地主である私にも借地権を買って欲しいと、指値で話がありましたが、少し高いのですぐにまとまりませんでした。その後、銀行は地主との直接交渉を断念したのか、この物件を競売に付して、結局不動産屋の親族が落札しました。こちらは本人がそこに居住することを条件に相手と借地契約の交渉をしましたが、結局は契約書にはその条件は明記されないまま、Aさんとの契約残期間(平成25年まで13年間)の借地契約を締結しました。

その後、相手はそこに住まず、営利目的の貸家として利用してきました。そのような事情から、平成25年12月の契約更新を迎えるにあたり、こちらがそこに住みたいので、借地権を買い取りたいと先方にどれくらいになるか教えて欲しいと伝えました。先方は1億円でも2億円でも、借地人が借地権の売値を決められると主張します。これは弁護士にでも宅建主任に訊いてもらってもよいと自信満々です。

居住権のある場合、旧借地借家法に規制されるので、住居人を追い出すことも、借地料を値上げすることもできないことは何度も苦い経験をして知っています。しかし、相手は居住権のない営利目的で運営しているので、新借地借家法に照らせば、この契約更新に当たっては十分慎重に当たった方が良いと思料します。また地主である私自身もここの土地に住むために居住権を買い取りたく、いくらになるか先方に尋ねたわけですが、億の話ではまったく話になりません。相手も営利目的でずっと借地権を保持して利益を出したいのですから、易々と手放すわけはないと思えます。このような場合、法的にはどのように扱われるのか、過去の判例はどうかということが気になります。

また、借地契約の場合、上屋が償却する40〜50年経てば、または地震火事等で焼失壊滅した場合は、借地権は消滅すると聞いています。借地権の買戻しが現実的に不可能な場合、本件のような営利目的での借地権契約の更新料、契約年数、借地単価の決め方は、居住権のある場合とはまったく異なると思われますが。相手のこの借地権付住宅からの収入、経費等も参考に決めてもよさそうに思えます。本件契約更新の場合の、更新料の上限額、借地単価を含む法的に可能な諸条件(契約年数、上屋寿命、次の更新等)をご教示願えればありがたく思います。それらをまとめて先方に内容証明で送付したいと考えています。よろしくお願いします。

A,
借地借家法は平成4年7月31日に施行された法律ですので、平成5年に借地権付き古家の売買契約をして借地契約をしている場合は、それ以前からの借地契約に基づきますので旧借地法が適用される借地契約になると考えます。

旧借地法下の取り扱いでは、借地期間の定めがある場合には、その期間中に建物が朽廃しても、借地権は消滅しません。(最高裁・昭和37年7月19日判決)、ただし、借地期間の定めをしなかった場合には、建物が朽廃すると借地権もまた消滅するとされています。

借地権は建物の所有を目的とする土地の賃借権ですので、建物所有者の居住の有無には左右されないと考えます。従って、更新料・契約年数・借地単価も旧借地法がそのまま適用されます。更新契約については、合意更新による更新料は一般に借地権価格の3%〜5%程度といわれます。契約年数は非堅固な建物で20年、借地単価は地域の相場があると思いますが、年間地代利回りとして土地の公示価格に対して7.6/1,000(平成21年)が平均的となっています。