押し紙の割合と損失

不動産業界では、よく利用される折り込みチラシに関係する以下のような記事があったので、転載します。
押し紙の割合と損失
新聞社本社が新聞広告料などを減らさない為に公称部数の維持を図り(=押し紙問題)、そのしわ寄せが販売店に来ています。
では押し紙が増えている販売店は泣き寝入るだけなのか?もちろんそんな事はないのですが、まずは押し紙による損失と、その割合を見てみましょう。
例えば実際に販売店で配達している新聞の部数は3000部なのに、本社から購入している部数は3600部だったとします。
この場合、押し紙は600部という事になり、一月にすると「600×30=18000」で、18000部捨てる事になります(まあ実際は古紙回収業者に売るので多少の戻りはありますが)。
で、問題は新聞の原価がいくらかですが、これは購読料の7割とも8割とも言われています。仮に朝刊のみだけだとして、一ヶ月の購読料が3000円で原価7割と8割で計算してみましょう。
○7割なら…
3000円×70%=2100円
2100円×600部=1260000円
○8割なら…
3000円×80%=2400円
2400円×600部=1440000円

押し紙が毎日600部出るとしたら一月で130〜140万円前後の無駄な出費があるという事になり、経営にとって相当な負担になるのは間違いありません。
今回は3600部の仕入れに対して3000部が実配で、押し紙は600部というのを例にしましたが、「3600部に対して600部の押し紙では押し紙比率が2割近いけど、ちょっと多すぎない?」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
では実際の販売店押し紙比率はどうなっているのでしょう?
実は2割というのは比較的マシな方なのです。私の関わりのある新聞店だと4200〜4300部の公称部数に対して押し紙は700〜800部で、押し紙の比率は2割弱となっており、
これもマシな方。酷い所になると押し紙比率が5割を超えることも…
発行部数日本一の読売新聞は、比較的押し紙の比率は少ないのですが、朝日新聞になるともっと比率は高くなり、毎日新聞に至っては結構酷い状況になっています。
新聞業界全体で見ればおそらく3割〜4割前後くらいが押し紙だと思われます。各新聞社はこうやって新聞購読料を確保しつつ広告掲載料の維持を図っています。
こう聞くと本社が悪の元凶に見えますが、実は販売店も同じような事をしているのです。

押し紙とチラシの関係
押し紙はハッキリ言って詐欺なのですが、実はこういった体質は新聞社だけに留まらず、各販売店でも当然のように行われています。
例えば、ある販売店毎日新聞を4000部仕入れていたとして、実際に配っている部数は3000部、押し紙は1000部だとします。
新聞には折り込みチラシが付き物ですが、押し紙が1000部もある状態で折り込みチラシの依頼主には何部配っていると申告するでしょう?
もちろん4000部です。もうお分かりだと思いますが、本社が押し紙によって公称部数を維持し、それによって詐欺まがいの利益を出しているのと同様に、
売店でも押し紙を含めた数を配達部数とする水増しを行い、チラシによる収入を増やしているのです。まあ詐欺です。
「うちの新聞店は4000部配ってますよ〜」と言って4000部分のチラシ収入を得るのですが、実際に配っている部数は3000部なので、毎日作る折り込みチラシも当然3000部+αです。では残りの1000部は…?
その1000部がどうなるかはあえて語りませんが、ご想像の通りです。各新聞社は押し紙によって利益を出し、販売店押し紙による損失を部数の水増しによるチラシ収入で補っており、結局一番割を食うのはチラシの依頼主という何とも理不尽な状況。上記の例でいくと刷ったチラシ4000部の内、客の手元に届くのは3000部で、残りの1000部は広告料の払い損だし印刷料も無駄になる。

これらは脈々と受け継がれる新聞業界の悪しき体質で、かつてはタブーとされていましたが、今の情報社会では隠し通せる訳もなく徐々に明るみに出てきました。それでも世の中の新聞離れを背景に押し紙は増え続け、チラシの依頼主が払う無駄な広告料も増える事になります。そういう背景もあって最近幅を利かせ始めたのがポスティング業者です。




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